自殺志願

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「私には生きている価値なんて無いんですね」    1999年、私はノストラダムスの大予言、世界の終わりを迎える一月のある日、最愛の人を失ってしまった。  クリスマスは二人で楽しくプレゼント交換をしたり、キスをしたり、抱き合ったり。同じ朝を笑顔で迎えたり、永遠を誓い合ったり。  それが、一ヶ月も経ってないのに、私は一人になった。  突然の彼の死の知らせは、私を絶望の淵へといざない、私の存在価値でさへも否定するのだった。 私の世界の終わりは、周りの誰よりも早く訪れた……ただ、それだけのことなのかもしれない。  今、私をこの世界につなぎとめてるのは、自分で死ななくても皆と一緒にやってくる世界の終焉があるからに他ならない。  やっぱり私は臆病で、彼の側に早く行きたい私と、まだこの世界に何かを期待している私が格闘して、結局は先に進めないんだよね。  絶望を客観的に見つめ、そんな悲劇のヒロインである私を可哀想って涙して見つめる私もいる。  人は不思議なもんで悲しみに慣れてきて、それを噛み砕いて生きる力にも変えれる……って、彼氏を亡くした先輩が言ってた。  私はそんなもんに慣れたくない。可哀想って言う私もくそっくらえだ。  毎日が私の中で深い深い闇の中へ落ちていく。前に進めないけど落ちていくのは簡単だった。
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