成功の法則

プロローグ

　人生の道標として“富を求めず、知恵を求めよという言葉がある。

人間がこう思うならば、潜在意識が知恵を与え、金持ちになる事が出来る。

ある者はこの言葉を信じて、行い富を掴んだ。知恵を望んでいたのに。

　その男は、退職金を使い本を書いた。小説を読むのは好きだが、書いた事がなかった。そして幾度かの苦難を乗り越え、妻の助言という協力で辛うじて出版という話となった。

だが、出版する前から七つの国で版権が獲得され、最終的に世界的に有名な映画会社が映画化に必要な版権を取得した。その額は1億6000万円。

成功する法則に従えば、実現不可能と思われる結果が起こる。

「何で貴方は金持ちなのですか？」

「それは、正しい原則に従っていたからさ」

そのような成功体験もあるが、桂次郎には無縁の言葉だ。彼は信じない。自分自身の可能性も、政治家も、家族でさえも。