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あーあ、腹が減ったな……でも仕方ない。仕事がないのだから。
次郎は仕事が日雇いの派遣が職業。
収入は安定していない。
かれこれ、3日も仕事がない。
クソッタレ!
心の中でそう叫びながら次郎は、漫画喫茶の個室の大きな黒いソファーに短い足を投げ出すように座っている。
クソッタレ!
クソッタレが!
ああ、仕事をくれよ。腹が減った。電話よ。来い来るんだ!
お……来たよ。マジかよ!
次郎は慌ててパソコンが置かれているテーブルに投げ捨ててある携帯電話を手にした。
「もしもし。桂です。仕事ですか? 何でもします。安くてもします。殺し以外なら!」
とひときは大きく歓喜に満ちた声で話す次郎。
だが、輝きを取り戻した瞳が、また惨めで貧相な顔に戻った。
「何だ。お前かよ。何の用だよ。俺は忙しいんだよ!」
と口調も声すらも変わる次郎。
どうやら、仕事の電話ではなく、友人からだった様子だ。
「何が忙しいよ。今から出て来ない? 教会で食事会があるの! もちろん無料だよ! どうせ金が無いんでしょ?」
「うるせえ! 俺は神を信じない。教会なんて下らないぜ! じゃあな!」
と声を荒げて電話を切った次郎。彼は信じない。他人も神もそして、自分自身でさえも。
この物語は、神と悪魔の戦いの物語である。
一体勝つのはどちらなのだろうか?
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