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仕事もないのに友人の誘いを断った次郎。
無料で食べそこなった胃袋が、ストライキ寸前でグウグウと叫びデモを起こしている。
「仕方ねえな。分かったよ。胃袋に何か入れてやるから黙れ。俺の腹よ!」
腹と会話をする次郎。それが通じたのか、黙る腹。
次郎は部屋を出て、他の利用者のいる広い部屋にやって来た。
漫画を選ぶ者を横目で見ながら、一直線にドリンクのコーナーに行く。
もちろんリアルシルバーが目的だ。
飲めば元気になれる代物だが、
糖尿病になる可能性が高い。一週間に1本が理想だろう。
だが、次郎は今日はこれで3杯めだ。
糖分だけでなく、各種の栄養も取れる為のチョイスだが、
既に限界だった。今の彼に必要なのは蛋白質。
「ねえ……あの人カッコよくない?」
次郎の瞳に輝きが宿る。
シャキンとスイッチが入ったように、顔がみるみる内に変化していく。
美形くずれの誕生だ。
すぐに顔が崩れてしまう為に、中途半端な顔だとバレてしまうのが難点だが。
「ねー! 声をかけてみようよ!」
よし来い! 来るんだ!
女子高校生でも、ミックぐらいおごってくれんだろ!
次郎は念じた。だが、その念じた顔は怖かった。
食べられそうで。その顔じゃ無理だよ。アンタ。
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