55人が本棚に入れています
本棚に追加
食べたい。ハンバーガー!
肉! 肉を食わせろ!
地獄の餓鬼道に落とされた子供のように飢えた顔をする次郎。
本人は美形な顔を作っているつもりなのが痛々しい。
無理だよ。諦めな。
「ねえ。お兄さん。お腹が減ってるの?」
来た。来たよ! 顔はそこそこだが、問題ない。狙いは奴の財布の中身だ!
スカートの中身には一切興味がねえ!
予想に反してやって来た女子高校生。
顔は少しタレ目で、印象は愛らしい。
そんな彼女に失礼な事を思う次郎。
「別に腹は減ってないけどね」
と強がる次郎。悲しいものでプライドだけは一人前だ。
「お腹が減っていないなら、あっちに行って私の友達と一緒に漫画読まない?」
「ああ。いいよ」
ハンバーガー……俺の貴重な蛋白質が。
「本当に呼んで来たの。相変わらず、男を見る目がないね。アンタは」
愛らしい女子高校生の友人が待つ席に向かうと、氷のように冷たい声でその友人がいった。
愛らしい友人とは真逆のキツイ目。
目は細いが、くっきりとした二重瞼。
顔の線は細く、マネキンを思わせる。
そんなキツイ性格そうな友人が、漫画喫茶を出た。
「どこに行くの?」
愛らしい女子高校生が話しかける。
「ミック。アンタらは腹が減ってないんでしょ? 減っててもおごらないけどさ」
と言って店を出た。
あのクソッタレ女がー!
内心叫んだ次郎であったが、相手が超能力者でもないかぎりその声は決して届かない。
最初のコメントを投稿しよう!