少女領域

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01・山咲ココミ チョコレィトにアイスクリィム。 ふわふっあかあいいのマシュマロ。 アタシのダイスキなモノ。 次に命をおろすのならお菓子の国がいい。 その日、山咲ココミは傍らにアイスボックスを抱えながら、季節はずれの海へ向っていた。 フリルの付いた黒いセーラーカラーのコートから覗く細くて長い足。 厚底なおでこ靴で駆ける姿は傍から見たら滑稽だけれど、 ロリータな出で立ちでアイスボックスを持つことがココミの正装だった。 10分ほど前、ココミは学校の旧校舎の屋上に居た。 月明かりの下、海を見つめながら大好きなアイスクリームを食べるのがココミの満月の夜のルールだった。 この日もアイスボックスの中からチョコミントを選び、誰にも邪魔されず自分だけの時間を過ごす予定だった。 けれども警備員の懐中電灯の光に邪魔をされ、聖域を侵された。 ココミは急いで荷物をまとめ、海を目指して走り今に至る。 ココミが学校の旧校舎の屋上を選んだことには訳があった。 それは満月の日の出来事だった。 母親とママの「おともだち」らしい男の車に乗り食事へ向う途中、車窓から海を眺めていると光の中でゆらゆらと動く細い影を見つけた。 薄い体に黒く長い髪。 その姿は美しく、それでいて今にも壊れそうだった。 ココミは母親に対し甘い言葉を使う男に嫌悪していたが、少女によって嫌悪感を忘れ、頭は少女への想いでいっぱいになった。 また、人魚姫に会いたい…と。
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