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07・強い気持ち
「ママ、再婚しようと思って…新しい家族が2人増えてしまうけど…ね…ココミ。ママ、幸せになっていいよね?」
もともと仕事が忙しく、留守にしがちな親であったが近頃の外出に仕事だけでは無いことを山咲ココミは感じていた。
満月のあの夜。
人魚姫を見た日に車を運転していた男。
あの男に会っていることは服装と化粧から想像がついた。
しかし、いつか来るであろうと予想していたことだが、母親がお腹をさすって話す姿には正直驚いていた。
―――ママの勝手は今に始まったことじゃないけど…
「あの人でしょ。アタシあまり好きじゃない。でもママが幸せならいいんじゃない」
「ココミ…。ココミが嫌ならママは…」
「だって、赤ちゃん居るんでしょ。その子のことも考えてあげて」
「ココミ…」
「でも、アタシここに残るよ。一緒には行かない。反対してるんじゃなくて…ほら、ひとりだとともだち呼べるし?」
いくら身勝手な母親でも家に呼べるともだちが居ないことは解っていた。
だかそれを心配する一方、ココミのまっすぐなにかをみつめる瞳にそれ以上の言葉を掛けることは出来なかった。
―――アタシまだ人魚姫を見つけていない。
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