君と揺れていたい

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当時、学生だった撲はコンビニでの夜勤のバイトを終えて、住んでいるマンションへと歩いて向かっていた。 彩世は、僕のマンションの入り口近くの植え込みに寄りかかって眠っていた。 夏なのに長袖のTシャツを着ている。 酔っぱらいだろうと、撲は通り過ぎた。 しかし、何か違和感を感じて振り返ってみる。 彼女の左手首あたりから血が滲み、Tシャツを汚していた。 まだ赤い血だ。 よく見ると、少しずつ汚れが広がっているような気もする。 彼女を揺すり起こす。 薄く目を開けて、「誰?」と不機嫌そうに言う。 「救急車呼びますか?」 彼女はまた目を閉じ、要らないと言いたげに右手を左右に振った。 「睡眠薬飲んで、ちょっと朦朧としてるだけだから平気」 「じゃあ家まで送りますから、帰りましょう」 「家、無いんだ」 そのまま彼女は眠りについた。
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