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正座する女「外界にしても無論で御座います、お姫様。
私はお殿様の命により何度となく外界に遣わされておりますが恋などという言葉を耳にした事は一度も御座いません。
香織様は何をお考えなのか絵空事ばかりを仰られます故にどうか惑わされぬよう」
静璃「絵空事……。
香織様がしてくださったお話は確かに美しいものでした。
憧れてしまうほど……」
正座する女「……」
静璃「私も秀雄様と恋ができればと思っております。
そして私の子を外界へと送り、何時か私に外界の事を教えていただきたいのです」
正座する女「なりません」
静璃「香織様は仰いました。
西園寺に嫁ぐ私は伊達よりも西園寺に尽くすべきであると。
伊達の姫として私は無知である事を許されていましたが西園寺の妻として無知である事は秀雄様の恥となるのだと」
正座する女「お姫様。
何卒香織様よりお聞きした事はお忘れくださいまし。
何を目的としていらっしゃるのか私には見当も付きませぬが香織様はお姫様によからぬ知恵を授けようとしております」
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