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香織「ああ。そこの我が儘な若様がせめて醜女かどうか確認してきてくれと煩くてね」
栗山「……貴様は堕ちるところまで堕ちていたようだな。
不憫な境遇を憐むよりもまず容姿の確認を優先するなど」
(舌を打ち睨みつけてくる栗山から秀雄は慌てて目を逸らす。
それを見た香織は呆れかえり深い溜息をついて見せた)
栗山「もしや貴様、頑なであった態度を軟化させたのは伊達の姫君の容姿を考えて……」
秀雄「ば、莫迦な事を。
友といえども今宵の貴様の言動は目に余るものがあるぞ。
婚儀を明日に控え、貴様という掛け替えのない友にだけは祝ってほしいという俺の心情を理解してはくれんのか」
栗山「ううむ。確かに決まったものは仕方なくはあるが」
香織「そう。最早戻れぬ今に大切なのは西園寺が伊達のお姫様を大事にするのかどうか」
秀雄「その通りだ」
栗山「釈然とはせんが、まず祝うべきなのだろうな。
明日は俺のような平民は畑より姫君の輿入れを見物するしか出来んからには今言おう。
……おめでとう」
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