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「…辛い?」
ディルは俯く。
「ねえ、ディル?私だってディルと離れたら……」
同じ様に辛いんだよ?って言いたかった。だけどそれは、ディルによって遮られてしまう。
「好きな女が泣いてるのに、俺は何もしてやれない。
それが…辛い」
色々な意味で、ドキッとする。言ったディルは真剣で、本当に辛そうに見えた…。
「何もしてやれないなんて事ないよ。傍にいてくれたでしょう?」
「そんな事位しかしてやれないだろ!」
そんな事って言うけど、私にはそれがどんなに嬉しかったか!
でも、辛そうに私から目を逸らしたディルを見たら何も言えなくなってしまった。
「ディル…」
私を思って、悩んでくれている…。
たまらなくなって、ディルに歩み寄ると、更に顔を背けられた。
『!!!』
チラッと見えたディルの目…潤んで…!?
『泣いてるの?』
私のせいで…。私は、ディルの背を擦った。
「…止めろ」
私は、止めなかった。首を振って、ディルの背を擦り続ける。
「…ごめんなさい」
私の目にも、だんだん涙が溢れて来た。
「ありがと…」
「ミヤコ…」
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