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ディルとルーが私を見た。
「ミヤコ、起きたー!」
「聞いてたのか…」
ディルは、ばつの悪そうな顔をして、私から視線を逸らす。こんなディルは初めてだ…。
私は、儀式部屋の椅子に座らされていた。椅子から立ち上がろうとしてビックリする。
「え…な、何で!?」
メイド服の様なワンピースを着ていたはずなのに…私、いつの間にか制服に着替えてる!!!
パニック状態になっていると、ディルがサラリと言った。
「服は、俺が着替えさせた」
「ええっ!!!」
ディルが…!?カッと顔が熱くなる。
でも、それは…次のディルの言葉で一瞬に冷めた。
「帰るのに、こっちの服じゃまずいだろう」
ディルは、そんなに…。
「…お願い。ちゃんとした理由を教えて?
教えてくれなくちゃ、帰るに帰れない」
「ミヤコ!」
ルーが声を上げる。ディルは、ゆっくり私を見た。
「理由を聞いたら帰るか?」
こうでも言わないと、ディルは何も教えてくれない気がする。私は、頷いた。
ディルと視線が絡む。ディルは重い口を開いた。
「元の世界を思って泣くミヤコを見るのが…俺には辛い」
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