殺人小説家

はじまり

　　　　　　　　　　　　　　　「もしかして、　ふぅ、くん？」
　　　　　　　　　　　　　　　馬鹿なババアだとばかり思っていた相手は、意外と若かった。
　　　　　　　　　　　　　　　20代後半くらいで、いまいちダサい感じだけど、胸はけっこうデカそうだ。
　　　　　　　　　　　　　　　俺がうなずいてみせると、女は『きゃ～！！やった～！！』とか言いながら、一人ではしゃぎまくった。
　　　　　　　　　　　　　　　・・・・ぶっちゃけ、キモい。
　　　　　　　　　　　　　　　「とりあえず話そうよ」
　　　　　　　　　　　　　　　女は慣れた感じで俺の反対側の席に座ると、小脇に抱えていたバックから、ペンとメモ帳をひっぱり出した。
　　　　　　　　　　　　　　　よく見ると、ダサい格好に不釣り合いな、有名ブランドのバックだ。
　　　　　　　　　　　　　　　「ふぅくんって部活なに？普段はなにしてすごしてる？彼女はいる？付き合って何年目？あ、家族構成聞いていい？学校どこ行ってるの？おこずかい月にいくら？趣味は？雑誌なに読んでる？アッチ系のサイトによく参加してるの？トランクス派ブリーフ派？何か部活やってる？誕生日いつ？血液型は？あと寝る時間と平均睡眠時間教えて？血圧高い？自分で思ってみてカッとなりやすいタイプだと思う？けっこう髪の毛長いわねぇ、学校で流行ってるとか？あ、学校の話とか詳しく聞きたいな」