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「私ね、ショウセツカなの」
彼女は尋ねもしないのに答えた。
―――――ごめんね、ちょーどっいいアイデア思いついたんだけど、そのネタを使う以上、今どきの中学生の子の心情が必要なのに、ちゃんと決まんなくてね。
ただ、単純に、『どこにでもいる、あたりまえの、中学生』である俺を知りたいのだと言った。
「そりゃあ、適当にやっつけちゃえばいいんだけどさ、どうしても欲しいんだ」
私の中にない、リアルな、本当の人間の輪郭が。
そう言いながら微笑んでいるくせに、その目は全然真剣で。
彼女の内からにじみだす何かが、眼の白いところを青白く光らせているようだった。
その、青さに呑まれたのかもしれない。
気付いたら、俺は彼女のうんざりするような質問にいちいち答え、あげく自慰の回数まで吐かされて、金を貰いながら、次に会う約束をしていた。
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