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その瞬間、影はMZDの影法師と離れ、ロキと共に淡い光に包まれ始めていた。
そう、これは紛れもなくMZDが移動する際に使う空間転送の術だ。
「神!?」
「なっ…MZD、貴様!!」
「悪いが、お前等を巻き込むワケにゃいかね」
影――もといハテナとロキに、MZDはニヒルに笑いかける。
が、その顔は辛く悲しそうに歪んでいた。
「奴等の狙いは神である俺だ。犠牲になるなら俺だけで十分だからな」
「そんな、貴様も一緒に…」
「俺が一緒だと、お前等に迷惑がかかる」
MZDに言葉を遮られ、ロキは黙りこむ。
「今からお前等を、現実世界へ飛ばす。助けを求めればなんとかしてくれるハズだ」
「神!!」
「じゃあな…無事でいてくれ」
MZDがもう一度指を鳴らすと、ハテナとロキの姿がより一層光に包まれ――消え失せた。
「MZDィィィィィィィッ!!」
――ワタシとハテナの視界が真っ白になる直前、追っ手が一斉にMZDへ襲いかかるのが見えた。
(…MZD、貴様も無事でいてくれ…)
ロキの意識は、そこで途絶えた。
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