#01 現実世界sideA

4/4
前へ
/67ページ
次へ
  「変な断末魔あげるから、心配したじゃないの」 「すいましぇん…って、そちらの方は?」  ひかりから裏手ツッコミ(と言う名の裏拳)を食らい、腹を押さえながら美土里は彼女の隣にいる友理子に視線を上げた。 「ああ、彼女は友理子ちゃん。私の同級生」 「にしてはひかより大人びて見…すみませんごめんなさい追撃の裏拳はしないで下さい」  裏拳の構えをしたひかりに、美土里はその場で土下座をする勢いで謝った。 「まあまあ…そうだ、三人でプリクラ撮りません? 今日の記念に」  この修羅場を回避しなければと思ったのか何なのか、友理子は突然パチンと手を合わせて提案した。  そんな友理子のナイスな臨機応変にひかりは裏拳の構えを解き、明るい表情を浮かべる。 「あ、それ良いかも」 「そうですねー、他にやることないですし。ではここはひかが二百円を出すと言うことで」 「なんでじゃい」 「ごふっ…」  美土里の余計な発言に、ひかりは彼女の脳天にチョップを入れたのだった。  普通の、そしてありきたりな日常  明日が必ず訪れるという希望が持てる、平和な日常  しかしこの当たり前の平穏な日常が、この後見事に崩れ去ることになろうとは  彼女達はまだ、知るよしもなかった――  
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加