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記念のプリクラを撮り終わった三人は、ゲームセンターから出てきた。
「ふう、ストレス発散かつ久しぶりに思う存分ポップンやったわー!」
外に出るや伸びをするひかりの後ろで、彼女とは対照的に財布を悲しそうに見つめる美土里の姿があった。
実は三人、四百円のプリクラを撮る際にじゃんけんと言う名の真剣勝負で誰が二百円を出すかを決め――そしてじゃんけんの勝負に負けた美土里が、余分の二百円を払うことになったのだ。
「僕のマイマネーが…しろたん買うお金が……」
「専門学生にもなって白アザラシのぬいぐるみ買うんかい」
家にたくさんあるんだからもういいでしょうが、とひかりは喝を入れた。
「次はどこ行こうか?」
「うーん…」
美土里を華麗にスルーし問いかけた友理子にひかりは首を捻り、これからの行動をどうするか考えた――時だった。
「……わぁぁっ…」
……今、遠くから女の人の叫び声が聞こえた気がする。
いやいやそんなわけがない。こんな場所でスカイダイビングはあり得ない。むしろこの辺に飛び降りれる高いビルなど建ってはいない筈だ。
(空耳だ空耳…空耳アワーだ、うん)
しかしそんなひかりの心の呟きも虚しく、それはどんどん大きくなり――ついにははっきりと聞こえ始めた。
「……え?」
堪らなくなったひかりと美土里、友理子が空を仰いでみると
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
頭上から女の人が降ってきた。
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