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「お茶なら出せるけど、緑茶でいいよね?」
「ああ、お構い無く」
ひかりがタイガーの電子ケトルでお湯を沸かし、急須と人数分の湯飲みを用意している間。
今回においては一時間程の滞在を予定しているため、たった三分でお湯が沸けてしまうこの電子ケトルは非常に助かる。
沸かしたお湯を入れた急須で湯飲みに緑茶を淹れるひかりの横で、美土里はロキへ振り向いた。
「で、ロキは助けを求めて此処へやってきたんですよね。何故にこんな剣も魔法もないこの地球なんです?」
「それは知らない。神が『助けを求めればなんとかしてくれるハズ』と言って、此処へ飛ばしてきたからな」
「…そっかー」
神よ…助けを求めればなんとかしてくれるハズと言われても、こちらではどうにも出来ないのだが。
心の中でそうツッコミを入れる美土里だった。
「まあその話はまた後程にして…ポップン世界でしたっけ。そこで一体、何があったんですか?」
淹れてくれた緑茶を息で冷ましながら、友理子はロキに尋ねた。
それもそうだ。ポップン世界という未知の世界だろうが、神様が自分の世界の住人を理由もなく異世界へ放り出したりはしない。
しかも、異世界文化とは無縁であるこの地球になんかに。
「確かに…あいつは異世界から人を呼び集めることはあるが、逆のことはしない。しかし……」
ロキは一旦間を置き、そして
「そこに…“奴等”が現れた」
これまでの経緯を静かに話し始めた――。
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