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「…言っとくけど、俺らは敵じゃねぇ」
「え…」
何を今更。
翼が問う暇を与えず、長い髪を風に靡かせ、倖は消えた。
「…敵じゃ…ない…?」
翼は倖が去り際に放った言葉を繰り返した。
「!!そうだ、昴…!」
翼は金斗雲を発動させると、明かりの点いている教室まで飛んだ。
「昴!」
トントン、と窓を叩く音に、昴は机を片付けていた手を休め、窓を開ける。
金斗雲に乗った昴が、ふわりと教室に入って来た。
「…こりゃまた、随分と派手にやらかしたな…」
翼は金斗雲から降りて羽根に戻し、教室を見渡した。
机や椅子は薙ぎ倒され、ものの見事に散らかっている。
「だから今、後片付けしてんだよ」
机を所定の位置に置き、昴は額の汗を拭う。
「…お前って律義なのな~…」
「何も知らずに学校に来て、教室に行ったらぐっちゃぐちゃでした、なんて事があったら、お前もビビるだろ?ほら、見てないで手伝えよ」
「…はいはい」
渋々と翼は答える。
が、その顔は笑っていた。
朋澤倖、星垣鏡。
彼女達は一体、何者なのか。
翼と昴の頭の中に、疑問が残った。
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