第三章§敵か味方か§

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「…言っとくけど、俺らは敵じゃねぇ」 「え…」   何を今更。 翼が問う暇を与えず、長い髪を風に靡かせ、倖は消えた。   「…敵じゃ…ない…?」   翼は倖が去り際に放った言葉を繰り返した。   「!!そうだ、昴…!」   翼は金斗雲を発動させると、明かりの点いている教室まで飛んだ。                     「昴!」   トントン、と窓を叩く音に、昴は机を片付けていた手を休め、窓を開ける。 金斗雲に乗った昴が、ふわりと教室に入って来た。 「…こりゃまた、随分と派手にやらかしたな…」   翼は金斗雲から降りて羽根に戻し、教室を見渡した。 机や椅子は薙ぎ倒され、ものの見事に散らかっている。   「だから今、後片付けしてんだよ」   机を所定の位置に置き、昴は額の汗を拭う。   「…お前って律義なのな~…」 「何も知らずに学校に来て、教室に行ったらぐっちゃぐちゃでした、なんて事があったら、お前もビビるだろ?ほら、見てないで手伝えよ」 「…はいはい」   渋々と翼は答える。 が、その顔は笑っていた。       朋澤倖、星垣鏡。 彼女達は一体、何者なのか。 翼と昴の頭の中に、疑問が残った。         §  
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