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そして、充に担がれ講堂を後にした直樹は
(う~ん、そろそろ降ろして欲しいな…………)
充の肩で揺られながら、地面を見つめのんきに考えていた
直樹を肩に担ぎ、すごい勢いで進んで行く充に、道ゆく人々は「うわっ!?」とか「きゃあっ!?」とか言って道をあける
しばらくすると何処まできたのか、肩に担がれ地面だけしか見ていなかった直樹にはわからないが、回りが静かになりやっと充の足が止まり、ストンと降ろされた
『………………』
(何処だ………?)
見覚えのない場所にキョロキョロしていれば
「……………直樹」
大きな手で顔を挟まれたかと思えば、すぐに重なる唇
『……………んっ』
唇を割り忍び込んでくる熱い舌に体が震える
餓えた獣のように直樹の唇を貪る充にのまれる直樹
長い長いキスが終わり、唇が離れる頃には直樹の息はすっかりあがっていた
『……………っは……』
崩れ落ちる体を充が掬うように抱きしめる
『……………充』
「………………」
名前を呼んでも、何も言わずギュッと抱きしめてくる充に、そっと手をのばし頭を撫でてやれば
「……………好きだ」
まるですべてのものから隠すように、しっかりと直樹を抱きしめる充
『………………ん』
直樹はそんな充の頭を何時までも優しく撫で続けるのであった
END
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