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「別に。そういうのはあんま。」 「そう。」 彼は気分が晴れたみたいな顔になっていた。 意味も分からず適当に答えただけなのに…。 みんなは授業の用意をしているが、私は何もしないまま夢の中に入る。 授業とかマジどーでもいいし。 「教科書見せて?」 そっか、彼はまだ教科書貰ってないんだ。 「はい、これ。」 授業に参加する気がないから、私は自分の教科書をそのまま彼に渡す。 私の教科書には、書き込みどころか名前すら書いていない。 1回も使われていない教科書。 「あげる。いらないし。」 そう言って私はまた寝ようとした。 油性ペンのキュッっていう音が聞こえた。 名前を書いているんだ。
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