記憶喪失

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午後10時頃、目が覚めダイニングへ向かい水を飲んで戻り眠り出した真琴はイギリスで生活していた頃以来1度も見る事が無かった夢の中に入った。 そこには幾度も戦場を駆け戦死した兵士達のいる丘で身体を剣で支えながら立っている男がいた。 100人、1000人でも構わず助け無敗で自軍を勝利させた男は何も思い残す事や未練が無かった。 無数に刺さっている使われなくなった剣、まるで墓標に思えた光景の中に満身創痍で休んでいた男は様々な剣を見下ろし憐れに思ってしまい、今まで以上に誰かを助けられるのなら死後を預けると世界に告げ、柄を放し仰向けに倒れ溜息を吐き亡くなって逝った。 それから幾度と無く時代に召喚され、敵を倒しパートナーを守る役目を繰り返すうちに学生だった頃の自分がいる世界、それも酷い方法で召喚されいきなり掃除をさせられてしまった。 もし、この時代で生活している自分を殺したら全てが無かった事になる筈と考えた男はパートナーを裏切り、学生である自分と対峙した。 急に苦しくなりベッドから落ち空の洗面器に血を吐き何とか落ち着くと左腕の反応も無くなりティッシュで血を拭いた真琴はまた侵食が始まったと呟きゆっくりと洗面器を持ち洗いに向かって自分の部屋へ戻り時計を見た。 時刻は午前3時、起床時間にはまだ早かったので再び眠ると太陽の日差しで目を覚まし、洗面所で顔を洗った真琴はゆかりさんに真紀奈の調子を聞くとまだまだよと言われ、他人を心配出来るほど頭良いのかと怒られたが友紀奈に模擬テストで満点なら問題無いと思うけどねとフォローされ溜息を吐き、朝食を食べ終えた。
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