記憶喪失

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そして1週間後、顧問と担任に挨拶し進学先が決まり卒業式を終えた真琴は帰宅し、日課の様に買い物へ出掛けると以前助けた女子生徒が父親を連れて近寄り用事が済んで駅へ送ろうとした時、赤黒いマントを纏った魔術師がゴーレムで容赦無く3人へ襲い掛かり、真琴は2人を逃がし封印されていた力を使い、代償として自身の名前以外の全てを失ってしまった。  病室で目を覚まし後見人が呼び掛け、振り向いた真琴は死人の様な表情で見つめると誰ですかと尋ね、精神科医の説明で記憶喪失と診断され2日後、帰宅し学校と高校側で話し合い入学を1ヶ月遅らす形で決定した。 月に1度教会へ出向き包帯を交換して基礎的な講習で不足分を補い、ダンボールに荷物を纏め下宿先の住所が書かれた用紙を貼り送った真琴は剣術と体力錬成に励んだ。次第に弓道・剣術で経験してきた事や正義の味方になる夢、そして10年前の大災害で自分と数人だけが生還し、大半の住民や観光で訪れていた外国人の死傷者を出した惨劇、心の傷と背負った悲しみを思い出し後見人と一緒に空港へ向かい、詳しく目的地が書かれラミネート加工を施した小さな地図を渡されお互いに挨拶すると別れ電車に乗り誠道学園駅前へ向かった。 午後10時半頃、頭痛で目を覚まし洗面所に向かい、入浴した真琴は着替えて簡単な料理を作ると1人夕食を食べた。 2日間まともに食事をしていなかった原因で貧血気味だったが、明日の準備を済ませて就寝したが真紀奈に叩き起こされ徹夜の勉強会で結局眠れずに終わり、何故か綾子と一緒に職員室へ向かい魔法科の担任が自己紹介し、校内を案内され教室の前で別れた。 魔法士登録をすでに済ませていた真琴は3年間のうち、1年を普通科課程で過ごさなければならない規定に従いちょうど男子生徒の割合が少ない教室まで連れて行かされ、着慣れていないせいか中に入った瞬間、全員の視線が一気に集中し自己紹介すると席に着いた。
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