記憶喪失

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5人で協議した結果、休日の予定を空ける代わりに真紀奈が中心となって何か善からぬ事を企み出し、明日に備えて就寝した真琴はまた10年前の悪夢で目を覚まし、鏡に映っている自分の姿を眺めた。 両親とアルは元気で暮らしているだろうか2ヶ月に1通、手紙が届きイギリスの現状や話題作等が書かれていた。 翌日になって髪を隠くさず登校し、剣道部と弓道部を見学すると綾子が近寄り誰かに追われているのか匿った。 その時、弓道部のエースで元同級生だった功刀亮平が駆け寄り、学園のアイドルを見なかったかと聞かれ2階へ向かったから間に合うぞと嘘を言って指差した。  「弓道部のエースに成りたいなら諦めた方が身の為だぜ、稽古が厳しいからな」  「連盟で指折りの達人だから当たり前だよ、見つかると厄介だから行け」  と呆れ顔で言った真琴は亮平の背中を押して行かせ姿が見えなくなった後、横に移り綾子の肩を軽く叩いた。 物陰から出て来た綾子は溜息を吐き同級生だったのあなた達、当然部活も弓道部だった訳かと呟き呆れられてしまった。  「昔の話だよ、今は別のクラス」 と練習試合を観戦しながら答え先ほどから2人のうち、真琴を睨みつけている男子生徒が呼び掛け連行されると何故か生徒会長であり剣道部のエースで初対面の久蔵八雲と対決させられる事になってしまった。 竹刀を借りて待ち武装した八雲が現れ、お互いに礼をすると合図が鳴り先に仕掛けようと試みた八雲は真琴から感じられた威圧感によって躊躇してしまった。 目を閉じ、集中すると先端を斜め後ろへ向け構えた時、確実に先手を取った八雲が比較的打ちやすい籠手を狙ったが軽く弾かれ、何度も攻撃したが全て防がれ終了時間5分前、今まで受け身しか行っていなかった真琴が一気に間合いを詰め、最短距離から籠手を打ち、試合前に1本先取した者が勝利者であると審判員から聞かされていたので潔く負けを認めた八雲は握手し、真琴は借りた竹刀と剣道着を返した。
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