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「悪いわね、これ以上は行かせないわよ」
単純明快、近づかなければ刀は振れない。
「な、なにを!?」
千里が狼狽したように振り返る。
「あんた達がやろうとしているのは自殺行為よ。私には協力できないわね」
「どいてください!」
「嫌よ」
「お前・・何をしている」
横から怜の呆れた声。
「どけ」
怜は私に向かって無造作に腕を突き出す。
(ふん)
私は裾の上で身体をねじり、その腕をかわした。
「私には触れないわよ!」
「・・・優衣、手伝え。この女を裾から降ろす」
優衣と怜が両側から私に迫る。
(恨まないでよ!)
私は伸ばされた優衣の手をとり、思いっきり引いてこちらに背を向かせると、その背に足裏を押し付けて蹴り飛ばした。
次いで、怜の腕をかわし、肩で怜を突き飛ばす。
私は地に倒れた二人を見下ろし、高らかに笑った。
「どうよ?裾上の格闘妖精、有賀美奈に適うとでも思ってるの?」
「正気・・・いや、本気か?」
怜は立ち上がりながら言った。
「朝までこんなことが続けられると思っているのか?」
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