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ズル
ビチャ
ズル
ビチャ
千里は腐泥門の上を、髪を引きずりながら歩きだす。
ズル
ビチャ
ズル
ビチャ
ゆっくりと歩を進める千里。
その後を歩きながら、私はオロチ神を見上げた。
オロチ神は冥妃刀を恐れていないのか、それとも、冥妃刀を知らないのか、じっと鎌首をもたげたまま、己の花嫁が近づくのを待っている。
(いえ、知っている。だから花嫁に近づかない。でなければ、裾踏姫が裾を踏んでいないこのチャンスに、花嫁をさらわないなんてありえない)
(でも、何で逃げないのかしら?このままいけば、花嫁は冥妃刀を使い、オロチは自分の花嫁を殺すことになる。花嫁が死んでもいいの?)
わからない。
(神って、融通がきかないのかしら?まあ、どうでもいいけどね)
神の考えなどどうでもいい
私はやれることをやるだけ
裾踏姫としてできることを
(拓郎は花嫁から武器を奪おうとした。拓郎らしい発想よね)
私は片足を大きく上げる。
(だったら・・・私なら!!)
私はその足裏を、裾の上に思いっきり踏み下ろす。そして、瞬時に『裾踏留めの呪術』を施し、千里をその場に呪縛した。
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