第10話 大蛇の花嫁

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「思ってないわよ。ただ、やれることをやるだけ。私は拓郎ほど優しくないわ。これは自己満足のためにやってるの。私が何もしないであんた達がオロチに殺されちゃったら、見殺しにしたみたいで後味悪いじゃない。でも、これだけやって、それでもあんた達が私をどけて進むのなら、私には何の非もない。私は拓郎と一緒に晴れ晴れとした気持ちで帰れるわ」 「わかった」 怜が顔をしかめる。  「お前やあの男には感謝している。全て私達のためにやっていることも分かる。だから、もうそこから降りてくれ。例え死んでも私達は決して恨まないから」 「わかってないわね。言葉じゃなくて、強引に降ろしなさいよ。じゃなくちゃ、精一杯やった感がないわ。さあ、かかってきなさい」 「くそ・・・こんなことだったらあの男と一緒に落としとくんだった」 「ボヤいてないで来なさいよ、ほら!」 「仕方ない、優衣、お前はそっちからかかれ」 挟むように囲んだ怜と優衣に対し、私はは油断なく構えた。
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