禁断の世界ってどんなとこ?

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   グラウンドで朝練をしている陸上部を横目に見ながら玄関へと歩いていると、誰かが背中を軽く叩いた。   「よ、相変わらず可愛いなチキショー」   「黙れ馬鹿」    後ろに視線をやれば、テニス部のユニフォームを纏う男が、汗まみれでニコニコと微笑んでいた。    綾瀬貢(あやせ みつぐ)。  コイツとは中学からの付き合いで、根は悪い奴じゃない。  スポーツマンの癖にお洒落に余念が無く、セミロングの髪は茶髪にされていて、わざと立たせている。  整った顔立ちは女子に人気があり、月に3度は必ず告白されているらしい。そして同じ数だけ振っているとの事。   「なあ、今日一緒に帰ろうぜ? 飯奢ってやるからさ」   「やだ。何されるか分かんないし」    ちなみにコイツは中学の時にテニス部の主将を勤めていた。  そう、ボクにラブレターを書いたのはコイツなのだ。
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