禁断の世界ってどんなとこ?

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   学校は好きだ。ボクが男だと知っている人ばかりだから。  そして学校が大嫌いだ。貢みたいな奴が多いから。    矛盾なんかしてません。  貢みたいな奴に絡まれている時の学校が大嫌いなだけです。   「陸ー! 可愛いぞー!」    今日の授業も終わり、只今部活真っ最中。  ボクが所属している料理部の部員は、ボクを含めて7人。  その内5人は、ボクを妖しい世界へと引き込もうとしている男子達だ。    調理道具の代わりにカメラを握り締め、シャッターチャンスを狙っている男子共。  そんなにカメラが好きなら写真部に入部しろよ。    唯一まともなのは部長の立川爽(たちかわ さやか)だけ。  この部で唯一の、心のオアシスなのだ。   「立川さん、分量はこのくらいで良いかな?」   「ええ、充分よ。後はしっかりと混ぜ合わせてね」    ニコッと微笑む立川さんは、女神以外の何者でも無い。  この笑顔に何度救われた事か――記録でもしとけば良かったと思いながら、溶かしたバターと小麦粉をボウルの中で混ぜ合わせていた。
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