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「そんなにカメラに愛情注いじゃ駄目よ? 彼女に愛想尽かされちゃうわよ?」
空気が凍った気がする。
否、凍った。
確かにボク自身、常にカメラを向けられているのは鬱陶しかったが、そこまでは流石に言えない。
そのカメラ小僧は最近彼女に振られたばかりで、その事をよく知るカメラ仲間達は、どうやってこの重い空気を打破するか、オロオロしながら悩んでいる様だ。
そしてその触れてはいけない部分に容赦無く触れた立川さんは、相も変わらずニコニコとしてる。
「それと、そんなにカメラが好きなら写真部に行ったら? 確か彼女も写真部に居たわよね?」
うん、居るよ。元カノが。
振られたって事知らないのかこの人。
「ウワアアアッ!」
致命傷を負わされたカメラ小僧は泣きながら部室から走り去り、その後を仲間達が追い掛けて行く。
その姿を見ながら、立川さんはキョトンとした表情を浮かべていた。
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