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人の心の弱さと儚さを知った学校の帰り道、部活で作ったクッキーを満面の笑みで頬張っている。ちょっと砂糖を入れすぎたせいか甘味が強いが、それでも充分に美味い。
「今度家でも焼いてみようかな……」
ポリポリとハート型に焼きあげたクッキーを食べながら、家族の喜ぶ顔を思い浮かべてクスッと笑みを溢す。
普段は鬱陶しく感じたりもするが、なんだかんだ言っても家族は好きなのだろう。
ここまで育てて貰った両親には感謝してるし、妹だって可愛くない訳が無い。
「見直してくれるかな」
“兄ちゃん”って呼んで貰いたい気持ちはかなり強い。
それはボクの方が先に産まれたからとかじゃなくて、兄ちゃんって呼ばれたら何だか頼られている気がするから。
妹を守るのは兄の役目だし、仮にそんな役目が無くてもボクは守り続ける。
大切な親、大切な妹。
顔や趣味が女っぽくったって、皆に女だって言われたって、大切なものを全部守れる様な男になれたら、ボクは満足だ。
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