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そんなボクの心境を知らずに、両親は着物かナース服かで口論になっている。
本気で殴り飛ばしてやりたい衝動を抑えつつ、奇妙な撮影会が行われているリビングを後にした。
―*―
「たく、何が可愛いわよーだ」
ブツブツと文句を吐きながら、本棚と勉強机とベットしか無い自室で先程両親から強制的に施された口紅を落とす。
口紅なんか日常茶飯事だが、だからって馴れる訳も無い。
鏡で口紅が落ちたか確認しながら、溜め息を漏らした。
今鏡に映っているボクの顔は、確かに男とは言い難い。
クリッとした大きな瞳に、ニキビ1つ無い白い肌。少し茶色がかった髪の毛は、あちらこちらに跳ねて統制が取れていない。
17歳にもなって、未だに中学生の女子と間違われる童顔から目を反らし、机に頭を落とした。
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