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駄目だ、1人だと余計に虚しさと絶望が押し寄せてくる。
とは言え、リビングに戻れば、アンコールを受けて舞台に舞い戻る有名人と同じ扱いを、実の親からプレゼントされる事になる。
そうなれば、御希望に答えてパンチを喰らわせるが。
「だーれだ?」
却下、両親よりも先に拳を上げたい奴が現れた。
そいつは急にボクの視界を奪い、闇と怒りの中へと突き落とした。
「……声を出した時点でバレるとは思わないの? 杏華」
「そんな簡単にバレちゃつまんないじゃん!」
知るか。
その1言に尽きるのだが、敢えて何も言わずに両目を塞ぐ手を除けた。
「空気とタイミングぐらい読め。馬鹿杏華」
視界に入るニコニコ笑顔の女は、ボクの唯一の兄妹である秋元杏華(あきもと きょうか)。
もとい、天敵だ。
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