兄と呼べっ！

禁断の世界ってどんなとこ？

　
　すれ違う度に、人の視線はボクの制服へと注がれる。
　３年同じ道を歩いているのに、未だ同じ様な視線が送られてくる心境を表すには、ムカつくと言うより絶望と言った方が正しい表現方法だろう。

　“なんで女子中学生が高校の制服を着てるの？”

　毎年２ケタ以上同じ質問されるから、視線の意味は分かる。
　警察の方にも職務質問され、制服窃盗容疑をかけられたくらいだ。
　あの時ほど生徒手帳の有り難みを感じた事は無いと言う事はさておいて。

　そんなくだらない事を考えながら歩いていると、漸く我が学び舎である高校へとたどり着いた。

　私立赤羽高等学校。
　学校の歴史が短いとは言えど、この学校は本当に清潔だ。
　徹底した清掃が校風と言っても過言では無く、チリ１つでさえ許され無いのではないかと思うほど。
　その反面、校則はかなり緩く、それを目当てに毎年入学志望する者が多い人気校でもあったりする。