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「僕にとって、紅葉はそれだけ大切で、かけがえのない存在なんだ。」
私は、もう限界だった。
どうやって、彼の気持ちを断ろうか悩んでいる私に、龍はこう言ってきた。
「もしも、明日紅葉の気が変わったとしても、僕はずっと紅葉の側で紅葉だけを愛し続けるよ。だから、今度こそは言わせて…。」
龍が、緊張した顔で私を見ると、彼は私の手を優しく握りながら声を震わせた。
「僕と残りの人生を、一緒に歩んでください。」
ずっと、ずっと待ち焦がれていた瞬間だった。
私は、最も愛した男からプロポーズされたのだ。
こらえていたのに、あっと言う間に涙が流れた。
龍は、そんな私を見ながら、微笑んだ。
「紅葉を幸せにする事が、僕の人生最大の目標なんだ。」
彼がそう言ったのと同時に、私は彼の胸に飛び込んで大泣きした。
龍は、私を包み込むように大事に抱きしめながら、私の頭をなでた。
『私なんかで良いの?』
自信なく彼を見上げると、龍は笑いながら私の涙を拭ってくれた。
「紅葉が良いんだよ…。紅葉じゃなきゃ、ダメなんだ。」
龍は、私のあごを掴むとニッコリ笑いながら、キスしてきた。
そして、彼は見せかけの東京で、こう囁いた。
「僕達に、ハッピーエンド(幸せの終わり)は来ないよ。ハッピーエンドじゃなくて、ハッピースタート(幸せの始まり)にしようね!」
龍が可愛く微笑むと、私はまた彼とキスを交わした。
すると、龍は私を軽々とお姫様抱っこして、“愛と青春の旅立ち”みたいに、私の額に頬を寄せながら、笑顔で連れ去らってくれたのだった。
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