白菓子に負けるなんて!

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  「白蘭サン、」 「んー」   ミルフィオーレ本部。 長閑な昼下がりといえばそうだが、今僕の心境はさほど穏やかではない。 何故なら、せっかく二人が休日なのにも関わらず白蘭が相手にしようとしないのだ。 ずっとずっと、大好物のマシュマロを頬張っている。 それがつまらないのだ(普段なら、)(これが逆なんだろうけど)。 正一は深い溜息を零すが、それは一体今日だけで何度なのだろうか。 白蘭は相も変わらず隣でマシュマロを食べている。 何だかもう、白菓子に負けた気がしてならない。   「…あ」 「…、…」   心中悪態をつきながらナチュラルに白蘭が頬張ろうとしたマシュマロを奪って食べる(これは無視の仕返し)。 当の白蘭は気にするまでもなく、あーあ、と楽しそうに呟くだけであった。 …仕返しが、仕返しにならない。 むしろ彼は今この状況を楽しんでいるようにも見えるではないか。 これはもう、先程以上の不意打ちを仕掛けてやるより仕方ない。   「…、ン」 「…ふ」   重ねた唇から甘い味が広がる。 流石の白蘭も固まっているようだ、正一は微かな優越感に浸る。 後頭部手を添えて、深く。 それから彼が値をあげるまで、くちゅりくちゅりと舌を絡めたり唇を啄んだりする。 胸板を叩かれるのを合図に正一はようやく解放した。   「…っはぁ…っ」 「…僕を無視したからいけないんですよ」   ぽかん、と正一を見遣る。 それからゆっくり口を聞いてやった。 もちろん、表情は勝ち誇った笑みを浮かべてやって。   「ひょっとして正チャン、」 「…はい」 「マシマロにシットしたの」     白菓子に負けるなんて! (なっちょっ違いますよ!)(ふーん?)(ああもう!)       (20080724)マシュマロに嫉妬した正一と実は計画犯な白蘭        
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