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昔も今も僕は変わらないんだと、そう思った。
「ほら骸君、餌だよ」
「…ッ」
ぐい、と力いっぱい髪を捕まれまずそうな食い物の所まで無理矢理連れていかれる。
箸は勿論、フォークやスプーンなんてものは置いて無い。
要するにこの男は、骸に犬や猫がするようにして食えと謂っているのだ。
しかしプライドは高い彼は、忌ま忌ましいとばかりに白蘭を睨みつけ餌と称された飯を手で払いのけた。
その反動で器は地味な音を鳴らしてひっくり返り、綺麗な真っ白の床を汚す。
途端、ばしんと渇いた音が響き骸の身体は横たわった。
平手打ちされたと気付くのに、有に5秒は掛かったんじゃないだろうか。
「死に急ぎたいわけ、骸君。いい加減にしないとオレ怒るよ」
「…殺すなら殺せ、そのほうが良い」
どうやら平手打ちされた時に咥内が切れてしまったようだ、鉄の味が咥内を支配する。
好都合だとばかりに血の混ざった唾を彼の足元へ吐き付けた。
すると今度は腹部に彼の足がめり込む。
「ぐ、ぅ…ッ」
「…上等だね。これだけ可愛がってあげてるのに。愛してるのに」
「…げほっ、はっ、…っ気違いめ…っ、貴方なんか大嫌いだ!」
今度は何をされるだろう、骸は後悔と共に身構えた。
まあ幼少からやられて慣れた事だから、さして問題無いけれど。
昔も今も僕は変わらないんだと、そう思った。
(20080729)歪んだ愛の白蘭に哀れな骸
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