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「むくろくん、」
うっとりと寝台に横たわる裸体を眺める。
惜し気もなく曝されるその男にしては細い身体は、なんとも美麗。
今白蘭は幸福である。
この男の、六道骸の身体も心もその手中に手に入れたからである(お互い依存し始めたと謂っても過言ではない)。
「ねぇ白蘭、お願いがあります。」
「何、」
なんでも聞くよ、髪を梳きながら白蘭は謂った。
骸は薄く微笑む。
「マフィアを辞めて下さい」
「それは…オレ達殺されちゃうよ」
「なら、一緒に」
身体を起こすなり、するりと白蘭の首を両手で撫でる。
骸の目は、前のような輝きは無く坐っていた。
壊してしまったことにやや後悔をしつつも、心を手に入れたられた事には変わり無い。
それはそれで満足した。
しかし坐っている骸の、六の文字が浮かぶ血のように紅い右と母なる海のように美しい蒼の左に映る自身の目はどうだ、同じように座っているではないか。
自覚はないものの、どうやら自分の精神も壊れてしまっているようである。
面白いと、白蘭は口角を吊り上げた。
「じゃあさ骸君、君のその綺麗な髪でオレの首を締めて、」
「死ぬのですか」
「…まあね。…骸君は…、そうだな、オレの腸で首絞める?」
骸の片手を取り自身の腹に触れさせる。
すればおやおやと骸は唄うように音を紡いで怪しくも妖艶にほくそ笑んだ。
「窒息死は死体が醜くなります。ここはやはり、真っ紅な化粧をしましょう」
「それは良いね、紅は君に良く映えるし」
それじゃあ白いドレスでも着るかい、白蘭は尋ねる。
それなら貴方はスーツでもと、骸は答えた。
白蘭は無線回線を使い白い清楚なドレスとスーツを頼む。
暫くしてお付きの女人達がそれを持って現れた。
そして骸と白蘭の着替えを手伝う。
「わあ、まるで花嫁さんだね」
「クフフ…、それでは貴方は花婿です」
にこりと微笑みながら骸は白蘭の首に腕を回し抱き着いた。
白蘭はその細い背中に手を回してやると、その愛おしさがました気がした。
しかしもう、自分達の精神は終わっていることを悟っている。
女人らを取下げ、白蘭はフルーツナイフを、骸は三叉槍を手にする。
「いち、に、さんで、心臓を貫こう」
「刃を横にした方が良いですよ、立てると肋骨が邪魔をしますから」
「知ってるよ」
ふたりしてくすくすと笑う。
場所はベッドサイド。
天気は晴天。
「いち、」
「に、」
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