36人が本棚に入れています
本棚に追加
暗く冷たい牢屋のような地下室に、一人の少年が鎖に繋がれて大人しく鎮座している
その表情はどこか思いつめたような……、何かを諦めたようなもので、まだ5つか6つだというのにもう全てを悟り切ったような雰囲気を纏っていた。
「?」
ふと、階段の方から規則的な足音が聞こえる
それがすぐ"自分を迎えにきた音"だと理解した少年は別段何をするわけでもなく、階段の方に目を向ける
「No.1023、生きてるか?」
「…うん。生きてるよ」
やってきたのは一本の燭台を持った20歳程の男だった。
男は蝋燭の僅かな光を頼り少年の元に近づき、そしてかちゃかちゃと少年と石造りの壁を繋いでいる鎖を外し始めた
かしゃんっ、と涼しい音を立てて南京錠が地面に落ちる。
少年は久々に自由になった手足を、何となくぷらぷら動かしてみる
「お前が解放される理由は、分かってるな?」
「…"オリジナル"がピクシーを殺しちゃったんでしょ?大丈夫。ちゃんと"見えてた"から」
「…そうか……」
男は短く答える
「馬鹿だよね…。この世で唯一魔物と分かりあえる一族の長子が魔物を殺すだなんて……
ま、どーでもいいけど」
「………、ほら、もう行くぞ」
「はーい」
抑揚に乏しい声で返事をした少年は男に促されるまま、その暗くて冷たい地下室から消えていった――――――……
そして、ピクシーを殺してしまった少年は魔物側の要求によって連れ去られてしまった
最初のコメントを投稿しよう!