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「ん~…後5分~」
パフンッ
プスッ
普通なら、寝起きの悪い子供が言いそうな言葉だ。
母親の言葉に力無くなるも未だに続ける茎。
一向に中に戻って来ない息子を説得しに来たのか、いつの間にか母親もベランダに足を運んでいた。
「わかったわかった。今すぐに布団叩きを止めて学校行ってくれたら、なんでも買ってあげるから」
ピタリと茎の動きが止まり、キラキラと輝いた瞳で母親の方を見た。
「マジで!?約束だぞ母さん!!」
眉を八の字にたれ下げ、閉まりの無いにやけた口元で母親の手を握りしめる。
その姿に圧倒されながらも母親は答える。
「う…うん」
「行って来ます!」
母親が頷くのを確認するなり、すぐさまガチャンとドアから飛び出して行った。
「我が子ながら現金というか、馬鹿ね」
呆れたように言う母親の視界に茎はもう居なかった。
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