あしもとに、虹

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ぼくは雨がすきだった。   すこしずつふるときのやわらかい音も、どしゃぶりのばたばたとした、あたったらいたそうな音も、雨ふりの日のしめってやわらかい空気も、においも、どうしてだかはわからないけれど、ぼくを安心させてくれた。   これをともだちのお母さんの前で話したら、こどもらしくないのね、と言われた。   こどもらしくないって、どういうことなんだろう。 何かよくないことなのかな。 ぼくはふあんになってお母さんに聞いてみた。 お母さんは、ぼくのしつもんにはこたえてくれなかった。 かわりに、   「ゆうくん、おさんぽにいこうか」   そう、言ったんだ。 ちょうど、雨がやみはじめたところだった。
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