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「掴めない、でしょう?」
「うん……」
「でも、とってもきれいだったよね」
「……うん!」
「……きれいなものや、大事なものは、掴めないものの中に沢山あるの。……ゆうくんが好きな、雨の音も匂いも、掴めないものだよね?」
「うん」
「ほら、ゆうくんの大事なもの、みーんな掴めないものだね。ゆうくんは、ちゃんとわかってるんだよ。大事なものは手に掴めないもののなかにあること。だから、いいんだよ。ゆうくんは、ゆうくんが好きなものを好きって思えばいいんだよ」
「…………うん!」
もういちどみずたまりを見てみると、土のもやもやはなくなってまたにじがうつっていた。
ぼくはにじにほめてもらえたような気がして、もっともっと雨の日がすきになったんだ。
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