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「あっ、今日家帰るから」
半分以上食べ終わる頃に大介はポツリと言った。
洋一も箸を止めることなく、話しかけた。
「何かあるのか?」
「うん。今日パパとママから荷物が届くんだって。さっき堀川からメールきてたんだ」
堀川とは大介の家の管理人である。家だけでなく、大介の管理も頼まれているようで、洋一も何度か会ったことがある。しかし、話したことはない。
「こっち、帰ってくるのかよ?」
大介の両親は仕事の都合で、海外に行っていることだけ聞いていた。
「分かんない。今日電話しようと思って」
温かいうどんを冷ますために息をふきかけながら、大介はさらに続ける。
「当分、帰ってこないんじゃないかな」
いつものことのように大介は言った。
「まぁ、俺は帰ってこないほうがいいんだけどな。帰ってきたら、オマエ俺ん家これなくなるし」
洋一のお盆の上には、完食された皿が並んでいる。
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