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屋上は2人にとって特別な場所だった。
「んで、何があったって?」
わざとに大介をみないようにして、洋一はポケットに手を突っ込む。
数本しか残っていない、タバコのケースはしわくちゃである。
1本取り出すと、洋一はタバコに火をつける。そして深く吸い込み、ゆっくりと白い煙をはきだしながら、大介に尋ねた。
「俺にも言えないことがあったわけ?」
大介はうつむいたままである。
冬空から覗く、冷たく暖かい陽射しが2人を包みこむ。
どれくらいの時間がたったのだろうか…。
洋一がタバコの吸い殻を、固いコンクリートの床に押し付けていると、大介は小さな声で話し始めた。
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