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古い。そう言うしかない外見の神殿。
白かったであろう外壁は荒れ地から舞ってくる砂埃で薄茶色に変色していた。
更にシンボルとでもいうべき中心に伸びる塔はイギョウのカイブツに壊されたままで修復はされていない。
そんな古臭いと言ったら失礼だが、そういうしかない神殿に灰色の目をした『天駆の創神』は『魔誅の舞姫』と共に入って行った。
「……まったく。いつ来ても古臭い建物だな」
そうぼやくと先に歩いている『魔誅の舞姫』がフフッと笑う。
「あまり来ないのに……ですか?」
「まぁ……な。……仕方ない。此処いるのは爺どもだけだからな。来ると息がつまる」
アマツの言葉に何らかの力があったのか、はたまた、何かが起こったのか。
突然、周りの蝋燭が灯り始めた。
「……悪口。聞こえたみたいですね」
フフッとまた意地悪そうに笑う。その微笑みは嫌というほど血が舞う戦いを経験したとは思えない、純粋な微笑みだった。
「……陰険爺に何聞かれても痛くも痒くもないさ」
そう言い放ち、ドンドンと進んでいくと目の前には馬鹿でかい門が現れる。
「……『魔誅の舞姫』ことシャルロット・ラインハルトが参りました」
「『天駆の創神』ことチドウ・アマツが参りました」
膝を着きながら2人は自分の名前と与えられた二つ名を言う。
すると、ゴゴゴゴゴッと馬鹿でかい門が開く。先には赤い絨毯が道をしめすように轢かれていた。
「……さぁ、行きましょう?」
『魔誅の舞姫』ことシャルロット・ラインハルトが微笑みながらアマツに話す。
「あぁ。……後は俺次第だな」
これから行うことに多少の緊張があるのか、呟くアマツの表情は強張っていた。
「……大丈夫です。アマツは絶対に成功します」
「その自信は一体何処から?」
シャルロットはアマツの返事にニコッと微笑みながら話す。
「私はアナタを信じていますから」
シャルロットの一言にアマツは顔を恥ずかしそうに俯せて、一言「ありがとな」と言って、2人は奥へと歩を進めた。
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