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この辺りは、自動車の通りも少なく、速度制限も有ったので、私達は気兼ね無く狭い歩道を並列し、車道ギリギリまで歩いていたのだ。
ここで車が来るかも、とかかもしれない思考を巡らしていれば、こんな事にはならなかっただろう。
しかし、私達は車なんて来ない。来ても死ぬわけ無い。等と高を括っていたのでそんな考えなどミジンコ程にも考えていませんでした。
だからでしょうか。ブレーキの音と思われる甲高い音を聞いてさえ、動けなかった。
高い、音。
開く、瞳孔。
骨、及び車、壁の軋む音…。
浮遊感…。
……そして、痛み…。
死して後、やっと痛みが来たかの様な不思議な感覚。
気が付いたら、今の状態だった。
思い出しても、尚も信じがたい。
死に関しては、前々から実感も何も無い。
死んだ今でさえもだ。
そんな事を考えても仕方ない。
さっきの記憶からすれば、今はあの車は無いから、轢き逃げ、といった物だろう。
あぁ、何と呆気無いのだろう。
もっとこう…インパクトが有る物ならきっと…。
なんて今更考えたって仕方ない事だ。
そんな考えを巡らしていると、誰が呼んだのか警察が来た。
どうやら事情聴取と処理をしに来た様だ。
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