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チュンチュン…チュンチュン…
雀の冴えずり、温かな日の光。
生きていればとても素晴らしい朝だっただろう。
しかし、私にはもう素晴らしいとか依然の問題だった。
これが生者と死者の違いだろうか…?
そう思ったらとっても悲しかった。
「おはよー」
「うっす!」
外から登校して来た生徒の挨拶と笑い声が聞こえる。
もうそんな時間なのか…。
ふわふわ浮かぶ体を起こし、ふわっと教室の後ろのロッカーの上に座った。
こうして改めて見てみると教室って広い物だ。
普通の教室と違うのは、元・私の机の上に、花がたむけられてるだけ。
もっと…生きたかったな…。
痛切にそう感じた。
死ぬわけないと考えて、無駄に生きたあの時を、取り戻す事が出来ないだなんて…。
悔しかった。とってもとっても悔しかった。
涙らしい物が流れ、死して尚、生を嘆いた。
そんな所にどんどん生徒が登校して教室に入って来た。
本当だったら私も登校するはずだったのにな…
足を少しパタパタと動かしてみる。幽霊なのに足が有るのにはびっくりだが、透けて実体が無い以外は何も変わらないと思った。
「………」
視線を感じた。見えるはずが無いのに。
けど、確かにあの子は私を見ていた。
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