2248人が本棚に入れています
本棚に追加
「おじいちゃん、そういえば村の皆は?」
「……出ていったよ。新しい環境を求めて。」
「……そっか。」
老人の話を聞いたルナは残念そうに呟いて軽く俯いたが、老人はそんなルナを気遣うように話を続けた。
「じゃが……ワシの孫娘だけは残っておるよ。お前と仲良しのあの子が。」
「孫娘って……クレア!?あいついるの!?」
「うむ、今は向かいの家で一人で暮らしておるよ。行ってみてはどうじゃ?」
老人がそう言うとルナは嬉しそうな顔をして立ち上がり、すぐさま出ていこうとした。
「ありがとうおじいちゃん!また明日来るね!」
「ほいほい。行っといで。」
老人に見送られてルナはフロウスを抱えたまま外に出ると、正面にある家を見つめた。
「クレアかー……元気にしてるのかなー?」
「マスターの友達?」
「まぁね。さて、行きますか。」
嬉しそうなルナが一歩踏み出したその時、突然フロウスが村の入口の方を向いた。
「フロウス?どしたの?」
「……ごめん、気のせい。一瞬視線を感じたんだけど……」
「んなわけないっつーの。あたしですら感じないのに。」
ルナはフロウスの頭をぽんぽんと叩き、向かいの家まで歩いてドアをノックした。
最初のコメントを投稿しよう!