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「マスターの……故郷……」 「……あの日からもう十年。あたしが戦いの中で生きていくと決めたあの事件の日から……」 かつて平和に暮らしていたルナが戦いに身を投じることになった事件でもある両親の死。 ルナは列車が故郷に近づくにつれてその記憶が自分の頭を支配し始めていたため、自分自身を落ち着かせるためになるべく喋らないようにしていた事をフロウスに話した。 「ごめんね、変な心配かけて。」 「……マスターは自分の事になると我慢するところは三年前から変わってないね。他人の心には土足で入り込んでくるけど、自分の心には誰も立ち入らせない。変わってないよ?」 「……褒めてる?馬鹿にしてる?」 フロウスの説明が自分を馬鹿にしているのではないかと察したルナは顔を上げて再び外の景色を眺めながらそう聞いた。 「うーん……両方かな。」 「あんたも相変わらずね。っていうかさ、あたしって誰からも尊敬されてないような気がするわ。」 「まぁマスターを尊敬することは人生の敗北だからね。」 「(おいおい……)」 ルナはフロウスの厳しい一言に反論をしたかったが、妙に納得できる部分があったために言葉を返せなかった。 「さて……多分まだ時間かかるから、あたし寝るわ。何かあったら起こしてね。」 「うん、わかった。おやすみマスター。」 「ん、おやすみー。」 ルナはフロウスを自分の頭の上に移動させ、大きく深呼吸をして目を閉じるとすぐに眠りに入った。
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