2248人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほ、本当にルナなのかい……?」
「そうだって言ってんじゃん!」
「ほ、本当にか……?」
「何回言わせるつもりよ……」
このやり取りに疲れたルナは大きくため息をつき、老人の髭を一本引き抜いた。
「っ!」
「おじいちゃんにこんなこと出来るのは……この世界で一人しかいないと思うけど?」
そう言ってルナが不敵な笑みを浮かべると、老人は痛がる様子も見せずに唖然とした表情でルナを見つめた。
「……帰ってきたのか?」
「んー、ちょっと違う。ま、一時帰省って感じかな。」
「そうか……よく戻ってきた。」
老人は安心した様子でため息をつき、ゆっくりと自宅の方へと歩き始めた。
「わざわざ寒い所で立ち話をするのもあれじゃ。ワシの家に来なさい。」
「うーっす、邪魔しまーす。」
「(マスター、普通はお邪魔しますだよ……)」
雪の上に座っているフロウスは、ルナの図々しさに呆れて何も言えなかった。
ルナはそんなフロウスを抱え、老人の後を追った。
最初のコメントを投稿しよう!